睡眠時無呼吸症候群とは?
睡眠時無呼吸症候群(以下SAS)とは、寝ている間に気道が何らかの理由で塞がってしまい、呼吸が止まってしまう疾患です。日本人における睡眠時無呼吸は300~400万人とも言われています。
SASの患者さんは寝ているときに大きなイビキを伴っていることが多く、大きなイビキの消失と共に呼吸が停止し、この状態が数十秒続くと脳が呼吸を再開させるために覚醒し、呼吸が再開し脳が眠りにつくとまた呼吸が止まる、といったことを一晩中繰り返します。
その結果、睡眠を十分に取ったつもりでも実際には満足な睡眠が得られていないので、疲れが残ってしまったり、昼間に耐え難い眠気が現れます。
どのような人がSASになりやすい…?
SASの患者さんに多く見られる所見として、
- 大きなイビキ
- 肥満傾向にある
- 下顎が小さい
- 舌が大きい
- 鼻の詰まりが強い
- 軟口蓋が長い
などが挙げられます。

ただし、これらに当てはまる所見のある人すべてがSASになるわけではありません。
どのような症状があるのか…
SASの患者さんには以下のような症状がみられます
- 大きなイビキ
- 昼間(会議中など)の強い眠気
- よく眠った感じがしない
- 朝起きると頭痛がする
- 車の運転中に居眠りをする

治療について
1. 持続陽圧呼吸療法(CPAP療法)
寝ている間に鼻マスクより空気を送り、気道の閉塞を防ぐ治療法です。
睡眠時無呼吸症候群の最もスタンダードな治療法で有効性・安全性が高く、即効性があります。
副作用が少ないのも特徴です。


2. マウスピース
マウスピースは、イビキや無呼吸の程度が比較的軽少~中等症の方に適しています。
写真1のようなマウスピースを寝ている間装着することで、下顎が前に移動し気道を拡げ、イビキや無呼吸を軽減させます。
※歯科医院で作成していただきます。
マウスピースを希望される方は、作成可能な歯科医院へご紹介いたします。

3. 外科的手術
無呼吸の原因が、肥大した扁桃や長い軟口蓋の場合、それらを切除し気道が塞がらないようにする手術があります。手術適応と考えられる方で治療をご希望される方は治療可能な病院へご紹介いたします。
閉塞性睡眠時無呼吸の新しい治療法として、舌下神経電気刺激療法(以下HNS 2021年6月保険適用)があります。鎖骨の下に装置を埋め込み、呼吸にあわせて微弱な電気刺激で舌の筋肉を収縮させて気道の閉塞を防ぐ治療です。
手術ができる施設は8施設(2023年現在)しかなく、その一つに獨協医科大学病院があります。いくつかの適応基準があり基準を満たした方のみが対象となります。