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院長のひとりごと コラム一覧- column -

睡眠薬じゃあ、なかなか死ねない!
更新日:2023/05/26

院長のひとり言

今回は睡眠薬について触れてみたいと思います。

この記事をなんで書こうと思ったかというと、つい先日歌舞伎役者さんご一家が一家心中をはかるという悲しい出来事がありました。詳細な理由は分かりませんが、人気絶頂でご本人も歌舞伎界のために俄然やる気を出している方のようでもあり、そんな方が何故?と思うばかりです。何か、頑張りすぎてしまったことが、かえってプツっと凧糸が切れてしまったかのようなことになってしまったのでしょうか?

さて、今回気になったのはご両親の服薬自殺という点です。

睡眠薬のような、向精神薬を大量に服薬して死を迎えてしまったと報道されています。一体どの薬をどれくらい服用したのかも今のところ不明ですが、睡眠薬で自殺という報道がこれだけメジャーに報じられることって、ふと考えると近年あまり耳にしないなぁ‥と思いませんか。今時の睡眠薬って、ちょっとやそっと多く飲んだからといって、なかなか死に至ることは難しいとさえ言われています。

それはなぜか⁉︎ その辺りを踏まえて、今回は睡眠薬について紐解いてみたいと思います。

目次
睡眠薬の歴史
睡眠薬の特徴
最近の睡眠薬
最近よく寝れないんだよなぁ「先生、睡眠薬出して!」はホントに正しいか?
まとめ
補足

 

睡眠薬の歴史

睡眠薬の歴史は約150年ほどになります。1869年頃バルビツール酸誘導体というものが初めて合成され、睡眠薬としての効果が示されました。そして20世紀初頭にはこのバルビツール酸系の睡眠薬が広く使用されるようになりました。次いで1950年代になるとベンゾジアゼピン系という次の世代の睡眠薬が開発され、1960年代ころには主な睡眠薬の使用はベンゾジアゼピン系に置きかわるようになりました。そして1980年代、非ベンゾジアゼピン系というベンゾジアゼピン系と似た効果を持ちながら、副作用のリスクが低いとされる系統の睡眠薬へと主力の座は変わっていくのでした。

 では、近年(現代)はどのようになっているのでしょう。詳しくは後で述べますが、最近は徐々にこれまでと薬の作用する系統が異なる新しい睡眠薬が選択されるようになってきました。その1つはメラトニン受容体作動薬というお薬。2005年に米国で承認され、現在では日本でも処方が可能となっている睡眠薬です。そしてもう1つ、オレキシン受容体拮抗薬というお薬です。このオレキシン受容体拮抗薬が最近主流となりつつあります。

 

睡眠薬の特徴

バルビツール酸系睡眠薬
バルビツール酸系睡眠薬の特徴として、まずはこの世に初めて登場した睡眠薬。中枢神経系を鎮静化させる作用があり、その効果はとても強力で眠りを誘導するものでした。過剰摂取や誤用により重篤な副作用や中毒性を引き起こす可能性があります。これは結局麻酔薬であり、意識を失い眠りにつくことと、筋肉をだらんとさせる筋弛緩作用があるため、量を増やしてしまうとのどが潰れてしまい、無呼吸の状態になってしまうお薬でした。

今や広く認知されている睡眠時無呼吸は、のどが潰れて息が止まると脳から「呼吸をしなさい!」というシグナルが送られます。その結果「ブハッ!」と呼吸を再開します。この時脳波を確認すると脳は起きた状態(覚醒反応)になっています(目が覚めるわけではない)。

ところが、バルビツール酸系の睡眠薬(もう麻酔薬と呼びますが)では、上述のとおり中枢神経系を鎮静させてしまっているので、この「息をしなさい!」というシグナルが送られてきません。よって、大量に使用すると意識を失い、呼吸も止まったままとなってしまうので、死に至る可能性のある危険なお薬でした。ある一定以上の年齢の方は、映画やドラマで睡眠薬で自殺をはかるというイメージに覚えがあるかと思いますが、これはこういった系統のお薬がもたらしたものでした。

因みにマイケル・ジャクソンが亡くなった際、専属の主治医が用いたのはバルビツールではありませんが、現在も全身麻酔での手術時に用いられる麻酔薬でした。日常的な使用頻度など分かりませんが、一般に寝れないからといって用いられるお薬では決してありません。

ベンゾジアゼピン系睡眠薬
このお薬は抗不安作用や睡眠導入作用があり、広く使用されてきました。よって不安を取り除いて寝付きやすくするという特徴があります。但し、バルビツール系ほどではないにせよ筋弛緩作用があることから、使用量を間違えると危険です。そして、依存性や急な薬の中断はかえって不眠を強めたり、また認知機能の低下やパニック症状などのリスクがあるため、長期的な使用には注意を要するという問題も抱えるお薬でした。

非ベンゾジアゼピン系睡眠薬
Zドラッグとも称されるこのお薬はベンゾジアゼピン系と似た効果を持ちながら、副作用のリスクが低いとされ近年では使用される睡眠薬の主流とされてきました。依存性や中止症候群のリスクが低いとされているものの、全く依存が無いわけではなく、やはり長期の使用には慎重になる必要があります。
また、このお薬の特徴としては筋弛緩作用がかなり軽減しているため、ちょっとやそっと大量に服薬したからといって、致死的な呼吸停止はかなり困難なものへと改良されてきました。よって、最近では睡眠薬で自殺をはかるということはあまり耳にしなくなっているかと思います。

ここまで述べてきましたお薬と、この後に述べる2つのお薬は全く異なるといっていいほど別のものという認識になります。それは作用する場所そのものが違っているからです。

バルビツール~ 非ベンゾジアゼピンまでは脳内のGABA受容体というところに作用しています。GABAって最近よく耳にしませんか?そう、一世を風靡した乳酸菌飲料をはじめとした、最近睡眠を良くするとうたっている食品に記載されているものです。GABAは睡眠や覚醒において唯一、脳に寝なさい!という鎮静性の情報を伝える(逆を言えば覚醒を抑える)神経伝達物質です。芸能人のコメントも後押しになったとかで、一時店頭から消える騒ぎになるほどでしたが、ここ1~2年、GABAをキーワードに睡眠に着目した食品が圧倒的に増えてきたのも事実です。
個人的には、いつ飲むんだろう? と効果発現のためにどの時間帯を推奨していたのかまでは知りませんが、朝飲んだら、それが寝る頃に作用するなんてことあるのかな?なんてこともちょっと思ってみたのでありました。

上記薬剤はGABAに作用することによって、イメージとしては強引に鎮静化させて、まるで押し付けるかのように寝かしつけている。そんなお薬になります。だから長期服用は避けたい。何となくお分かりいただけますでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

では次に、最近の新しいお薬について触れてみましょう。

メラトニン受容体作動薬
このお薬を語る際、まずメラトニンとは何ぞや?から入る必要があるでしょう。メラトニンとは、私たちの体内で自然に分泌されるホルモンで、主に睡眠覚醒リズムの調節に関与しています。

そのメカニズムとして、これは脳内にある松果体という部位で作られます。松果体は光の刺激を受けることでメラトニンの分泌が調節されます。通常、暗闇や夜間にメラトニンの分泌が増加し、明るい環境や日中は分泌が抑制されます。つまり夜暗くなると分泌されるもの、それがメラトニンです。

メラトニンは、体内の「時計」の役割を果たし、体内時計と外部の環境との調和をとることで、睡眠と覚醒のリズムをコントロールしています。夜にメラトニンの分泌が増えることで眠気を感じ、朝になると分泌が抑制されて覚醒状態になります。

メラトニンには、睡眠の調節以外にもさまざまな役割があります。例えば、免疫システムの調節や抗酸化作用、抗ストレス効果などが報告されています。また、メラトニンは自然に合成されるため、一般的には副作用が少ないとされています。

近年、メラトニンは睡眠障害や時差ボケの改善に対して、睡眠補助薬やサプリメントとして海外で利用されるようになりました。この夜暗くなると、眠気をさそうために自然と分泌されるメラトニンの効果が得やすくするお薬、それがメラトニン受容体作動薬です。

イメージとしては、メラトニンの効果をサポートするような感じですので、従来の睡眠薬のような、「飲んだらすぐに眠くなる!」というものとは異なります。効果を感じるまでに少々日数を要するのも特徴ですが、一緒に良く寝られるようにするための生活習慣の改善も必要とすることがあります。上述のとおり、朝になると分泌が抑えられる、つまり光を苦手としています。光を浴びることにより、メラトニンの分泌は抑えられてしまいます。

よっていくらメラトニン受容体作動薬を服薬しても、明るい部屋に居続けたり、スマホなどの光を浴びることによって効果がなかなか得られません。生活全般を見直すことも併せて行うことで、そのサポートをしてくれる。つまり人間の本来持つ自然な眠気に寄り添ったお薬と言えるので、このお薬を使用する際は、ご自身の生活を是非一緒に見直してほしいと思います。


オレキシン受容体拮抗薬
このお薬もまた、ヒトの自然な眠りに寄り添ったものであり、メラトニン同様、オレキシンとは何か?そこから入ってみたいと思います。

オレキシンは、私たちの体内で産生される神経伝達物質であり、覚醒状態や食欲の調節に関与しています。オレキシンは、中枢神経系(脳や脊髄)に存在する特定の神経細胞によって生成される物質です。正確にはオレキシンA(オレキシン-1)とオレキシンB(オレキシン-2)の2つの形態がありますが、一般的にはオレキシンとして総称されます。

オレキシンは、主に覚醒状態の調節に関与しています。中枢神経系の一部である覚醒中枢においてオレキシンは活性化され、覚醒や注意力を高める働きをします。そのため、オレキシンは「覚醒ホルモン」とも呼ばれることがあります。

また、オレキシンは食欲の調節にも関与しています。特にオレキシンAは、食欲を促進する作用があります。食欲刺激物質であるオレキシンAが中枢神経系に作用することで、食欲が増進されると考えられています。

オレキシンの異常な分泌や作用により、睡眠障害や食欲異常などの症状が引き起こされることがあります。例えば、ナルコレプシーと呼ばれる疾患では、オレキシンの不足や欠乏が原因で、昼間の過度の眠気や突然の睡眠発作が起こることがあります。

オレキシンに関連する研究はまだ進行中であり、その作用や役割については詳しく解明されている部分もありますが、まだ完全には解明されていない面もあります。

よって、日中私達が起き(続け)られているのは、オレキシンのおかげとなります。もしオレキシンが無かったら、歩行中や車の運転中でも、ホームで電車を待っている時や、包丁を持って料理をしている最中、自分の意志とは無関係に寝入ってしまうことでしょう。それは生命にとってとても危険な状態(例えば、目の前に熊が出現したとして、そんな危険な状態でもカクっと寝てしまうとしたら…)といえます。その性質を逆手にとって、オレキシンの働きを抑えることによって、寝やすくなるよね!というのがオレキシン受容体拮抗薬の効果になります。今のところ十分な研究データはまだ足りないものの、薬による依存の可能性は限りなく低いのではないかと言われています。

 

最近よく寝れないんだよなぁ「先生、睡眠薬出して!」は正しいか?

これは、結論から先に述べておきましょう。答えは「No」です!

布団に入っても眠れないって辛いですよねぇ。実は私も25年来の不眠でした。今でも時折タイミングを逃してしまうと寝れないことがあります。そんな時、まず最初に行うことって睡眠薬を飲むことなんでしょうか。その前にちょっと待ってみませんか。多くの場合、寝れない背景にその原因となる無意識の行動が隠れている事がよくあります。

寝れない問題の原因にはどんなものが…
寝れない原因はさまざまな要因によって引き起こされる可能性があります。日常生活や環境の改善を試みることが最初に取り組んで欲しいことであり、とても重要です。現代の最大要因はスマホではないでしょうか。今や若い人のみならず、ほぼ全ての年代で夜スマホ(やパソコン)を遅くまで見ることで寝られなくなっている人が大変多くみられます。ここを見直すだけで寝つきが改善するケースはかなり多いと感じています。

また、最近では「リベンジ夜更かし」なんていう言葉もあるそうです。昼間の忙しさなど自由な時間が少なかった結果、夜帰宅後に「もう寝るなんて勿体ない」と夜更かししてしまう行為をさすそうで、起源は中国のSNSから派生した言葉とも言われています。情報に溢れ、日々忙しく過ごしているとついそんな気になってしまうことはとても理解ができます。きっと配信サービスやSNSなど情報に溢れている社会構造が、リベンジ夜更かしに陥りやすい原因ではないかと個人的には思っています。だって、NetflixやYoutubeなど私も試しに見てみたら、あっという間に時間が経ってしまい、なんか夜更かししたくなる気持ちが分かったように思いました。

リベンジ夜更かしに近い状況として、晩に眠気が一度来るものの、うたた寝などでその後再度起きてしまう人もよく見かけます。人の身体は朝起きてから15~16時間経つと眠くなるように設計されています。なので、例えば朝6時に起きる人は21~22時頃に眠気を感じているのではないでしょうか。しかし、うたた寝の他にも何となくまだ寝るには早いと思ったり、見たいテレビがある、丁度お風呂に入っているなど身体は寝かせてサインを送っているのに、それを自身の意識が無視をしてしまう結果、その後就寝しても寝付けなくなる事も頻繁に見かけます。

こういった事の見直しだけでも、夜寝れるようになったり、夜中に目が覚めなくなった、なんてこともお聞きします。この見直しにお手軽でとても役立つのが睡眠日誌というもの。当院のものも含め「睡眠日誌」と検索して頂くと多数ヒットしてきます。簡単に言うと、毎日の寝ていた時間を棒線を引いて付けるだけ。これにより毎日何時間寝ていて、寝る時間、起きる時間、睡眠時間のバラつきが一目で可視化出来るものです。他に眠気を感じた時間や昼寝、うたた寝などがあればそこも記すことでどこに寝れないだったり眠気の原因があるかを知る大きなヒントとなります。今ではスマホのアプリでも多数あるので、ご自身が手軽に管理できる媒体を使用されるのがおススメです。
※睡眠日誌のページへ飛ばす

1日のリズムを確認しながら、そこに音楽や香り、マッサージなどのリラクゼーションや瞑想、ストレッチ、ヨガ、深呼吸など自分が寝つきやすいアイテムを組み込んでいくのも解決の糸口が広がるのではないでしょうか。

因みに冒頭で述べたように、私も寝付くまで2~3時間は当たり前の不眠でしたので、寝れない自分から気付いた点を補足すると、寝れないときって…
・呼吸が浅い
・考え事が始まってしまう
・考えないようにするとなお辛い
・思考や発想の内容はネガティブ(ポジティブにしようとしてもダメなんですよね…)
・横で家族がスヤスヤ寝ているとイラつく(自分の頭の中がネガティブなので(笑))
・以外と肩に力が入っている
・頭の上に負のオーラみたいなもの(熱量の塊?)があるような感じ
・この始まりって、就寝前は眠かったのに、布団に入った途端考え事が始まる

私は寝れないとき、こんな感じでした。そして頭の周りにまとわりつくような、寝れないオーラ(つまり考え事)を取り除くにはどうしたらいいものか?あれこれ試した結果、自分に合っていたものが2つありました。

1つは「足湯」。寝れないと思ったらいつまでも布団にしがみつかず、ベッドから出てしまいます。そして20~30分本を読みながら足湯をします。ほんのり額に汗がジトっとにじむ頃が1つの目安かも。その後再びベッドに入り込むと、先ほどまで頭の周りにモヤ~っとしていた考え事のオーラが、温まった足元に移動する感じに。足からの熱放散によるモヤ~が、考え事をしづらくしてくれて寝つきが良くなりました。

もう1つは「音」。ヒーリング音楽は安らぐかもしれませんが、個人的には寝付ける音楽ではありませんでした。そこでふと思ったのが「電車の音」。車内ってみんな寝てるじゃないですか。以前から、ガタンゴトンは寝付きやすい音なのでは?と何となく思っていたのですが、試したところ考え事をしなく(しづらく)なり、なんとものの5分で寝付いてしまいました。一人ひとりにとって「心地いい音」が秘訣ではないかと思っています。ですから音楽である必要はありません。

あくまで私が上手くいった対処法ですので、万人に効果を発揮するわけではないでしょうが、もし興味がありましたらぜひお試しください。
拙書「鼻スッキリで夜ぐっすり」でもふれています。
(但し効果はあくまで個人の感想です!)

他にも持病により痛みや苦痛といった事が眠りを阻害することもあります。この場合なかなかいい対処法が見当たらないかもしれませんが、病気に対する対処法として可能な方法を主治医とご相談いただき、ご自身で少しでも安らげる方法があれば合わせ技として併用して頂くのがよろしいかと思います。このような場合お薬の併用も検討の対象となるかもしれません。


まとめ

今回は睡眠薬について触れてみました。

歴史的背景からも、現代のお薬はなかなか大量に服薬しても命に関わるような副作用を得ることは困難な事がお分かりいただけましたでしょうか。また、最新のお薬はヒト本来の自然な眠りに同調したお薬が主流となってきました。安全性がより高まってはきたものの、睡眠薬はあくまで一時的な解決策であり、根本的な問題の解決にはなりません。

安易に睡眠薬にすぐ手をのばすのではなく、無意識に隠されたご自身の寝れない理由に目を向けて頂き、ちょっとした改善によっても十分眠りは解消されることがよくあります。

そのために睡眠日誌のような、自分の眠りを可視化できるものを用いたり、寝付きやすさにつながる音や香り、運動など身近なものを活用してみては如何でしょう。

また、慌ただしい現代において、孤独感や疎外感、何かしら悩みや辛さは誰しもが感じ抱いている感情かと思います。

命と引き換えにするほど辛いようなら逃げればいい!
生きていればなんとかなるもの!

「生きてるだけで丸儲け!」 明石家さんま   引用元:バズニュース速報

そして、ひとり悩み抱えず、吐露できる相手がいればぜひ吐き出してください。
なかなか人に言えないようであれば、悩みを聞いてもらえるところを頼ってみてください。下記に記しますが、他にもいくつかあるようです。

まもろうよこころ

子供のSOS相談窓口

補足

当院は不眠に対し心療内科的要因の診断、除外ができないため不眠外来は行っておりません。申し訳ございませんがご理解・ご協力のほど宜しくお願い致します。

たかしま耳鼻咽喉科・内科

花粉よりもっと大敵⁉ 黄砂について考えてみた!
更新日:2023/05/01

今回は、花粉症時期のもう一つの猛威、黄砂についてお伝えしたいと思います。

目次
・はじめに
・黄砂とは、黄砂の粒の大きさは、黄砂が飛散する時期
・黄砂の健康被害
・黄砂の予防対策
・おまけ

・はじめに…

今年のスギ花粉症は、例年と比べ物にならないほど大量に飛散し、症状のひどかった方が後を絶ちませんでした。

そのせいか、「今年から花粉症になったのかも…」、「例年は市販薬で治まっていたのに今年は治まらない…」、「病院で毎年もらっている薬が途中から効かなくなった…」、など「ひどい!」が今年のキーワードだったのではないでしょうか。そんな中、舌下免疫療法をされている方達は明らかに症状の出方が違うことを前回のこのコーナーでお伝えさせていただきました(前回の院長のひとり言をご参照ください)。
スギ花粉が落ち着き始めた4月になると、今度はヒノキの花粉が登場です。スギとヒノキって植物学的に仲間って知ってました⁉

スギはヒノキ科に属するんだそうです。だから、スギ花粉がある人はヒノキの花粉にも反応することがあるんですね。実際には、スギだけ症状が出る人や、ヒノキだけの人、両方とも症状が出る人、どちらの方がより症状が強く出やすいなど、人それぞれです。

そんな大量飛散に加えて、時を同じくして更に大量飛散を認めたのが「黄砂」でした。

そこで、今回は黄砂について知っておきたい情報をお届けしたいと思います。

 

・黄砂とは…

黄砂は、中国の乾燥地帯や蒙古国、シベリア地方などから飛んでくる砂塵のことです。大気中に浮遊している微小な粒子が主成分で、主に春から初夏にかけて、西風に乗って日本に飛来します。放牧している羊がむしゃむしゃ草を食べつくしてしまったため砂漠化してしまった!それが黄砂として飛散してくるとも言われていますね。

黄砂の粒(粒子)の大きさは…

はるばる遠くから風に運ばれてくる黄砂ってどのくらいの大きさなんでしょう。環境省によると、黄砂は4㎛くらいの大きさが多く、その中には2.5㎛を下回る更にさらに小さな粒子が含まれます。2.5㎛以下…⁉ そう!PM2.5です。PM2.5と聞くと、タバコや工場の煙突からの煙、車の排気ガスなど、なんだかとても身体に悪いもの…、そんなイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか。

ところでマイクロメートル(㎛)ってどんなサイズかというと、1/1000mm。つまり0.001mmの大きさです(イメージつきませんよね…😭)。

因みに花粉症の原因、花粉はそのほとんどが20~50㎛(0.02~0.05mm)なんだそうです(国立科学博物館より)

スギの花粉が30~40㎛(0.03~0.04mm)(岡山理科大学より)

髪の毛の太さが80㎛(0.08mm)(Kaoより)

スギ花粉は黄砂の10倍ほど大きく、髪の毛は20倍の太さだとということからも、いかに黄砂がちっちゃいかがお分かりいただけるかと思います。

 

 

 

 

 

 

 

出典元:東京都環境局

黄砂が飛散する時期

黄砂は気象庁によると2月~5月に多く観測され、4月にそのピークを認めます。つまりスギ花粉~ヒノキ花粉の時期と重なり、黄砂を観測するピークはヒノキの時期と一致することが分かります。

 

 

 

 

 

 

出典元:気象庁


・黄砂の健康被害

微小粒子である黄砂は、吸い込んでしまうと肺胞にまで到達することが知られています。黄砂に含まれる成分には、重金属や有害化学物質も含まれるため、体内に蓄積されると健康に悪影響を与えてしまいます。

鼻や目の症状:花粉よりも小さい黄砂を鼻から吸い込むと、花粉症と同様にくしゃみや水鼻、鼻づまりの原因となります。また、目に入ることで痒みの元にもなりますし、こすってしまうと充血したり、結膜炎の原因にもなります。

呼吸器系への影響;肺胞にまで達する微小粒子である黄砂を吸い込むことで気管支喘息がある方では、喘息発作のリスクとなり得ます。また、黄砂が高濃度で暴露されることにより、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や肺炎も悪化するリスクが言われています。

心疾患など循環器疾患への影響:原因はまだよく分かっていませんが、狭心症などの心血管疾患や不整脈、心不全を悪くすることも言われています。

皮膚のかゆみやかぶれ;黄砂が身体に付着することで身体の痒みや赤みを生じることがあります。その場合、金属アレルギーの可能性が言われています。

 

・黄砂の予防対策

PM2.5って、大気汚染やタバコの煙に含まれているものとしてよく取り上げられている時期もありました。つまり、それだけ健康を害するとても小さな物質(粒子)の総称です。

では、どのようにして回避したらいいのでしょうか。

マスクを着用する:但し、隙間から容易に入り込む黄砂は普通のマスクでは十分な予防効果が得られないこともあります。より効果的なマスクとなると、N95のような高性能な防塵マスクになりますが、使用により息苦しさなどを感じることもあるため、長時間の使用には向いていません。

部屋の窓を閉め、空気清浄機を使用する:部屋の窓を閉め、空気清浄機を使用する:窓を開けての換気を控えることが勧められるため、空気清浄機の使用はPM2.5を減らす効果が期待できます。但し、各メーカーにより性能や効果が異なるでしょうから、お求めの際はメーカーや販売店での確認をお願いします。

外出時には、帽子やサングラスを着用する:頻繁にうがいや手洗いを外出時には、帽子やサングラスを着用する: 髪の毛にも同然黄砂は付着します。それを塞ぐためには防止は有効活用したいものです。レザー素材のキャップなどを選ぶと防止に黄砂が付着しづらくなると思います。黄砂が目に入ることを軽減するためにも普段メガネをかけていない方はサングラスも活用してみてはいかがでしょう。
また、衣服についてもウールやファーなど黄砂が付着しやすいものは避けましょう。面素材であっても、表面がザラザラしているものは避けた方が賢明です。目や身体への付着や衣服についた黄砂を家の中に持ち込みづらくするためにも、身体の表面を覆うものはツルツルした素材を選ぶと良さそうですね(これは花粉でも同様のことが言えますが)。
静電気防止スプレーや、顔や髪の毛にかけられるイオンスプレーなども合わせ技として、効果が期待できるかもしれません。

頻繁にうがいや手洗いを:頻繁にうがいや手洗いを:黄砂(や花粉)が多い日は、どれだけ身体への付着や体内への侵入に気を付けても限界があります。そのためにも、付いたもの、含んだであろうものを除去するためにも、うがい、手洗いは小まめに行いましょう。

症状がある場合は、医療機関を受診する:アレルギー症状を中心に色々な症状があるでしょう。よく時期が過ぎるまでひたすら我慢していた!という人がいますが、これはガマンするものではありません。予防的工夫はもちろん行った方がいいですが、出てしまった症状については治療を積極的に行いましょう。

また、環境省から注意喚起のための暫定的な指針が出ていますので、黄砂がとてもひどい日は可能な限り、不要な外出を控えることも対処法として考えて下さい。

 

おまけ

ちなみに、宇都宮の大気汚染についてもリアルタイム大気汚染指数というものがございますので、よろしかったら参考までにどうぞ!

地域によって色々ありそうです… 皆さんの地域でも検索してみてください!

今年の花粉症 ある治療をしているとなんと…
更新日:2023/04/05

今年も花粉症の時期真っ最中ですが、皆さん症状はコントロールできているでしょうか。

今年の花粉症は、過去10年で一番多いと予測されていましたが、下記の棒グラフにもあるように、特に北関東は全国的にも群を抜いて超大量飛散の年となりました。ここ宇都宮においても実際クリニックを受診される患者さんから、例年の薬が効かない! 強い薬を使っても症状が治まらない!などこれまで経験したことの無いような訴えを多数お聞きしています。


 

 

 

(出典元:2023年スギ・ヒノキ花粉 全国飛散予測)

 

日本気象協会が、今年の花粉が飛散を開始したころ報じた内容でも、全国的に多くの地域で前年比や例年比をみても、200%以上の花粉が飛んでいると発信しています。

 

 

 

(出典元:日本気象協会 2023年 春の花粉飛散予測(第4報))

そんな中、ある治療をしているか、否かという違いが、症状のでかたに大きな違いを見せていることを実感しました。

その治療とは…
舌下免疫療法!

3月、スギ花粉のピーク時、抗アレルギー薬などの治療をされている方の中には、上述のように「全然薬が効かない!」や「もっと強い薬にして欲しい!」、「目も鼻もひどくて寝れない!」などといった、悲鳴にも近い症状の訴えを多くお聞きしました。特に驚いたのは「強い薬を使っても、それでも症状が治まらない!」とこれまでにあまり聞き覚えの無いような訴えすら多くお聞きしました。

そんな中、舌下免疫療法を行っている方の反応はというと…
「ほとんど症状が出ていない!」ですとか「薬を飲んでいれば大丈夫!」、中には「みんなひどいって言ってるけど、ホントかな⁉と思うくらい楽だった!」と真逆といっていいほどの症状の訴えに違いがありました。

当院では約150名ほど舌下免疫療法に携わらせて頂いてますが、この訴えの差には大変驚きました。ただし、今年のような大量飛散においても、軽症や薬を飲めば大丈夫!といった程度の方々は時期になったら内服薬で対処頂くことで十分コントロールできると思いますが、薬を飲んでも症状がひどくなってしまう方は、舌下免疫療法をご検討されてみては如何でしょう。

4月に入り、スギからヒノキの花粉へと移ってきました。スギとヒノキは植物学的に同じものに分類されているのだそうです。よって、スギ花粉に対する舌下免疫療法はヒノキ花粉に対しても期待が持てます。

スギ花粉症の症状は早い方で1月から感じ始めます。よって受験生学生定期試験では試験の成績に影響する可能性があります。また仕事に集中出来なかったり接客中鼻をかむことができない職種の方もいるでしょう。そして花粉症の症状のため、熟睡できなかったり寝れなかったりと睡眠障害の原因ともなり、結果的に学習や作業ミスにも繋がります。
鼻栓をして鼻づまりの状態にすると学習効果が下がることを過去に実験したことがあり、鼻づまりは眠りを悪くする事から日常に大きく影響します。その内容については拙書「鼻スッキリで夜ぐっすり」の中で述べています。

日本ではスギ花粉症に対するものとダニアレルギーに対する2つの舌下免疫療法が保険診療にて治療が可能となっており、当院ではスギ花粉症に対しシダキュアを、ダニアレルギーに対しミティキュアを処方しています。

スギに対するものは法的にスギやヒノキの飛散が終了した6月から治療が可能です。
一方、ダニに対する治療は一年中いつでも開始が可能です。

毎年花粉症にお悩みの方や一年中アレルギー症状にお困りの方は舌下免疫療法を検討してみてはいかがでしょう。

この治療には適応がございます。お近くの医療機関にてご相談されてみてください。

ことしの花粉症を振り返ると…(初期治療について)
更新日:2022/04/18

4月に入りスギ花粉から今はヒノキへと変わってきました。

花粉症をお持ちに皆さん、今年はいかがでしたか?

 

今年は、ヒノキの花粉が異常に多いようで4月に入り「再び症状がひどくなった!」

ですとか「3月まで大丈夫だったのに最近鼻や目がひどい!」といった訴えをよくお聞きします。

さて、毎年恒例のスギ花粉症。かねてよりお薬による治療はお早めに❕と、よく耳にされていたのではないかと思います。

こういった、症状がひどくなる前、もしくは花粉の飛び始める前にお薬を開始する治療法を「初期治療」といいます。

 

従来、初期治療は花粉が飛び始める1週間~2週間前から服薬を開始するといい!と言われています。

 

しかし、「それっていつ❓」という疑問を私は長年抱いていました。

 

ここ宇都宮近辺は例年、3月20前後に花粉の飛散が開始となりますので、それを目安に1週間や2週間前から服薬を開始すれば初期治療の時期としては完璧だと思います。しかし、例えば今年はどうだったか!?というと、花粉は約2週間おくれて飛び始めました。その理由は気候によるもの。今年は寒さが戻り雪も降ったりしましたので、結果飛散の開始がおくれたのです。

 

もし、3月20日の2週間前から初期治療を開始していたとしたら、どうでしょう。実際の飛散に対し1ヶ月も前から初期治療を開始していたことになります。こういったことが起こり得ることから、先にのべました「服薬の開始っていつ❓」が長年のギモンだったのです。

 

花粉症の症状が出始めるのは大きく分けて2パターンありますが、その前に、「飛散の開始」の定義について触れておきましょう。

 

花粉が飛んでいるかどうかは、全国各所で計測がされています。その観測は一般にダーラム型花粉捕集器を用いて行われ、1月以降で設置されているスライドグラス上に付着するスギ花粉の数が最初に1cmあたり1個以上になった日が2日以上続くと、その地域の飛散開始日となります(公益財団法人日本アレルギー協会 花粉情報標準化委員会の定義より)。

 

よって、飛散開始日より前からチョロチョロと花粉は飛び始めているわけです。

この飛散開始日の前から、くしゃみ、水鼻、鼻づまり、目のかゆみ、のどのイガイガや痒みなど、花粉によるアレルギー症状を認め始める「高感受性」とよばれる方達と、飛散が始まった後から症状が出始める「低感受性」の2つにパターンとして分類ができます。

 

早い人は年が明けると1月中旬頃から「なんだか鼻がムズムズしてきた」といって受診されます。こういった高感受性グループの方々は、少しでも症状を感じ始めたら服薬を開始されることをお勧めしています。

 

一方、低感受性グループの方達にはテレビなどで「春一番がそろそろ吹くぞー」と言い出したら、その辺りから服薬を始めてください。とお伝えしています。暖かくなり、春一番が吹くころ、その辺りが花粉の飛散開始日と重なります(宇都宮はその1週間ほど遅くなる場合がありますが)。

 

(メダカの赤ちゃん早くうまれないかな~待ちくたびれちゃったよぉ~ 副院長)

花粉症のピーク時対策🌲
更新日:2022/03/17

いよいよ今年の花粉症もピークとなってきました。
当院を受診くださる皆さんの多くが「今年は目の症状がひどい!」と仰ります。
コロナ禍でマスクが日常となり、鼻から吸い込む花粉の量が少なくなっていることが理由ではないかと、個人的には考えています。

眼は花粉用のゴーグルなどをしていないと大量に付着してしまいます。
花粉症用の目薬を使用していただいていても、「効かない!」とか「すぐにまた痒くなる!」といったご意見もこの時期は多いですね。

つまり、目薬の効果以上に花粉が大量に入り込んでくることが原因なので、薬を効きやすくするには、「当たり前だろ~~!」って思うかもしれませんが、入ってきた花粉を外へ出す必要があります。

では、どうすればいいのでしょう⁉

例えば、外出から帰ってきたら眼を洗って花粉を洗い流すことがおススメです。市販の眼を洗うものが色々販売されていますので、これを行って頂くと「症状が楽になった!」というご意見を頂戴します。

また、「洗浄は無理!」という方も多くいることでしょう。そんな場合は、市販の点眼薬を試してみてください。生理食塩水やプールの後の目薬などでもいいのではないかと思います。つまり、目薬にて花粉を目から洗い流す!といったイメージです。

但し、水道水で目を洗うことはかえって刺激となってしまうことがありますので控えることをおススメします。

 

一方、鼻の症状がひどい場合はどうしたらいいでしょう?

 

昼間、営業職にて外出の多いサラリーマンや、部活動でマスクを着けられない、また学校においては換気のため窓が開けっぱなしとなっている状況があるようです。そうなると、屋内、屋外の差がほぼないので、授業中ひどくなってしまう事もよくあるでしょう。

そんな場合も目に対する対処法と同様、鼻に吸い込んだ花粉をいかに外へ出すことができるか!

これが、症状のひどさを軽減する方法となります。

 

具体的には保湿用の鼻スプレーがおススメ。ネットなどにもありますので、お手軽に入手が可能です(当院でも取り扱っています!)。

昼間、鼻の症状がひどくなる前(このポイントが肝心!)、「あっ、このままだ

とヤバい!」と感じる瞬間があるはずだと思います。この時に、保湿用の鼻スプレーを沢山「シュシュシュシュ…!」とかけ、その後に鼻をかんでもらう。これによって「ひどくならずに済んだよ!」というお声もよく頂戴しています。

 

花粉を大量に吸い込んだ結果、鼻が過敏に反応し、それを外へ出そうとする反応。それこそがアレルギー反応なので、くしゃみ、鼻水によって花粉を排出させるのではなく、スプレーによって外へ出してあげる。これにより薬が効いている範疇に花粉量を抑える。このようなことを花粉症のピーク時期の対策として、私は皆さんによくお伝えしています。

他に、「朝や晩に鼻の症状がひどい!」といった場合はどうでしょう。

朝おきると、とたんに「くしゃみや鼻水」が出始める現象を「モーニングアタック」などと呼びます。起きがけに自律神経が副交感神経から交感神経に切り替わるタイミングが、ちょっとうまくいかないことが原因ではないか⁉と言われていますが、これはまだ全容解明とはいっていません。

花粉症によるアレルギー反応はすぐ反応する経路と、しばらく時間が経ってから反応する経路があります。夜になると鼻がつまって眠れない!などという症状はこの後から反応を起こす経路のしわざかもしれません。

こういった症状が薬だけでコントロールしきれない場合、私は「鼻うがい」をおススメしています。

朝と夜、もしくは夕方、帰宅後に鼻うがいをすることで、鼻の中をスッキリし、その後の症状を緩和させてくれることに期待できます。

鼻うがいについては、昨年12月に上梓しました院長の著書「鼻スッキリで夜ぐっすり」の中でも紹介していますし、その後、おかげ様でラジオ番組や週刊誌、テレビのコメントなどの取材をお受けした際も、「鼻うがい」についておススメさせて頂きました。

はじめて行う際、鼻がツーンとしみるんじゃないか⁉と少々ビビるかと思いますが、やってみると意外と楽で、その後のスッキリ感を一度体感すると結構手放せなくなる秀逸な1品です。コロナの感染予防にも良さそうと言われるようにもなってきており、ぜひ広く皆さんに鼻うがいをして頂けるといいなぁ!と思っています。

オミクロン株の感染リスクを下げるには⁉
更新日:2022/01/27

あまりにも当たり前な内容すぎて衝撃です!!
今回はめずらしく結論から申し上げますと…

① 鼻うがい
② 睡眠
③ 食事(腸活)

この3つが日ごろ習慣づけられると、オミクロン株の感染リスクを下げることが可能となり得るのではないでしょうか。

鼻うがい現在感染が急拡大しているオミクロン株。それまでのデルタ株などと最も異なるのが、感染症状の起こる場所。
肺炎など下気道(気管から肺まで)の感染症状がメインだったこれまでの株と比べ、オミクロン株は鼻やのどの症状をメインとした上気道(鼻~のどまで)の症状が中心です。

ここで重要なのが「鼻呼吸」。人間本来の呼吸である鼻呼吸が出来ている必要がまずあります。鼻呼吸によって、最初に感

染のターゲットとなるのが「上咽頭」という鼻の奥の突き当り。プールの水が入るとツーンと痛くなる場所です。
普段から、上咽頭は日常の雑菌やウイルスに最初にさらされる場所です。よって、朝、晩に鼻うがいをし、洗い流すことによって感染リスクを減らしましょう!というのが最初のおすすめポイント。気になる方は仕事から帰宅されて鼻うがいをするのもなお良いのではないでしょうか。

口呼吸になっている人にも鼻うがいはおススメです。但し、鼻かぜやこれから本格化する花粉症、また副鼻腔炎、鼻中隔湾曲症(鼻を左右

に分ける柱のうねり)などによって口呼吸となってしまう人は、必要な治療をあわせて行いましょう。

ネットや薬局でも様々な鼻うがいが販売されています。当院でも「ハナクリーン」という商品を扱っていますので、ご興味がございましたらスタッフにお声がけください。
鼻クリーン説明用紙ダウンロードはこちらから
鼻うがい紹介動画はこちらから 

睡眠

正しい睡眠とは、その「量」と「質」。

日本人はOECD諸国で最も睡眠時間の短い国です。

睡眠時間が短いと健康寿命も短縮してしまいます。

ある研究では、平均睡眠時間が7時間の人たちとくらべ、平均4時間以下の死亡率は1.6倍も高いことが言われています。

習慣的な睡眠不足は免疫系の働きを弱め、風邪などひきやすいばかりでなく、アレルギーや自己免疫疾患、がん発症率にさえ影響すると言われています。

 

特に、寝て最初の3時間はぐっすりと深い眠りが出現する大事な時間帯。この時に全身の細胞にはメンテナンスが入ります。しかし、これが夜更かしにより深夜に就寝すると深い眠り、つまりメンテナンスはカットされてしまいます。よって、スマホなどを長時間触ることにより夜更かしとなるのは、眠りの量だけでなく質も落としてしまいます。

 

また、睡眠時無呼吸のある方は、まさしく睡眠の質の低下をまねくため、十分な睡眠時間をとっていても質の低下につながります。

 

人の身体は朝起きてから15~6時間経つと眠くなるように設計されています。その時間帯に眠気を感じているにもかかわらず、我慢して起き続けることでその後、寝れなくなってしまう人をよく見かけます。

夜、自然に「眠いなぁ」と感じるのは、「そろそろ寝る時間だよ!」という身体からのサインです。このサインに目を向けてみませんか!

 

食事(腸活)

腸には身体全体の免疫細胞の6割も存在しているそうです。つまり我々が健康を保つためには、十分な免疫機能が保たれていなければなりません。そのためにも、腸活により腸内の細菌群がいいバランスをとっている腸内フローラの状態を目指したいものです。

 

腸内フローラを目指すために良い食事って何だろう?って考えると、1つめは食物繊維。主にごぼうやさつまいも、こんにゃく、だったり、みかんやバナナなどの果物、またしいたけや、しめじなどのキノコ類やわかめといった海藻にも多くの食物繊維を含んでいるそうです。こういった日常的に摂取することが可能な食品を、少量でいいので多くの種類を食べるよう心がけてみましょう。

 

もう一つは発酵食品。この発酵食品も腸活にはとてもいい食べ物。納豆、キムチ、みそ、ヨーグルトなどは勿論のこと、最近はやりの甘酒は飲む点滴とさえ言われるほどです。昨年秋から私は米麹の甘酒を自分で作って飲んでいますが、麹が発酵してブドウ糖となるため、砂糖を使わずに程よい甘みが得られます。また、身体のエネルギー代謝はブドウ糖のため、まさに飲んでそのままエネルギー源として利用されます。また、1時間ほど煮た小豆に米麹をあわせ(温度は70未満で! そうしないと高音のため発酵が止まってしまいます)、8時間経つと米麹あんこの完成。これも甘すぎず、私はここにヨーグルトをかけて毎朝食べています。

 

以上、鼻うがい、睡眠、食事(腸活)について触れてみました。これらは自身のセルフケアとして簡単にできる内容です。ほんのちょっと、ご自身の日常を見直し、身体をいたわることで感染予防にもつながる。感染自体をむやみに恐れるのではなく、セルフケア=セルフディフェンス!と考え、こういった事に目を向けてみてはいかがでしょう。

本を出版しました!
更新日:2021/12/11

この度、「鼻スッキリで夜ぐっすり」という本を21年12月10日、出版させ得て頂くこととなりました。
今回はここに至るまでを振り返ってみたいと思います。

丁度1年ほど前、私が現在学んでいる医療経営大学というコミュニティーの合宿でのこと。
ある先生が、本を出版されたことを知り、そこに至る思いなどをお聞きし、思わず「自分でも本を書いてみよう!」と即決したのでした。
実はこれには伏線があり、さらに遡ること数年前…
当時、当院のコンサルティングをお願いしていた担当者は、私の睡眠に対する思いなどをよく聞いていたので、「先生の思いを広く知ってもらうためには本を書いてみたらどうか⁉」と勧めてくれました。その当時は、本を書くには何をどうしたらいいか?などイメージがなかなかわかず、そのうち書けるといいな!といったことを話した記憶があります。
この会話は私の頭のどこかに残っていたのだろうと思います。話しは戻り、合宿での本の話しを聞いて、本を出版する方法を知っている人を紹介してもらえばいいんだ!と今回は出版した人を目の前にして、自身が本を出すことを十分にイメージできたのでした。

合宿のその日のうちに出版社の方を紹介してもらい、Zoomで詳細を伺い、年が明けていよいよスタートとなりました。
本ができるまでの経過を簡単にお伝えすると、5回ほど、本の材料となる内容につき私が資料をもとに説明・解説をしていきます。そしてその内容をライターさんがまとめてくれて、原案となる本のベースが出来上がります。私がそれに訂正を加えていき、まとめたものが初校となります。この間に図表についても、載せる数や内容を打ち合わせながら本文の更なる修正を行い、再校と念校まで行い(念校とは字のごとく念のためなので、必ずここまで行うわけではないようです)、この度の出版にこぎつけました。

初校~再校までの期間はかなりタイトで、特に再校は2日ほどの期限をきられており、他の仕事を横においてこちらを優先させる必要がありました。
丁度、依頼いただいてた講演の時期にぶつかり、講演スライドの作成もしなければならず、時間のやりくりを要しましたが、なんとかなったことを思うと、相変わらず私は「尻に火がつかないと腰があがらない」なまけもの体質のようで、今回もひそかに反省するのでした(笑)。

肝心な本の内容ですが、耳鼻科医である私が睡眠医療に関わるなかで、最も重要視しているのは「鼻呼吸」です。
鼻呼吸が障害されると、それだけで眠りの質は低下してしまいます。こういった鼻呼吸について、その役割や必要性を解説しています。
また、スマホのない世の中はもはや存在しないほどのデジタル社会において、寝る前や布団の中でスマホ操作をしている人が大変多く見られます。これもまた眠りの質を落としたり、寝つきを悪くして不眠の原因となってしまう場合もあります。
それにより、慢性的な睡眠不足に陥ることを「睡眠負債」と言います。その睡眠負債の原因として、遅くまでスマホ操作をしていることによる睡眠衛生の乱れがあるのです。
こういった睡眠衛生や睡眠負債にも触れ、今や世の認識が高くなった「睡眠時無呼吸」についても検査や治療についてお伝えしています。

このほか、慢性上咽頭炎という病態により、様々な不調を訴える方が実は多くいらっしゃいます。この不調により実は眠りの質を悪くしており、寝つきや夜中に目が覚める、寝た気がしないなどといったことに無意識のうちに関与していることもよく見られるのです。これに対し上咽頭擦過療法という処置の治療は眠りを含め不調を軽快させてくれる可能性を強く秘めています。
これらのことを症例を交え、また家庭で出来る鼻呼吸の民間療法や生活の注意点など幅広くお伝えしています。

普段、おろそかになりがちな「睡眠」にちょっとだけ意識が向き、昼間当たり前の活動が当たり前に過ごせるためにも、ご自身の睡眠を見直すきっかけとなってくれたら!という思いで書いてみました📔

どうぞ、ご興味、ご関心を持っていただいた方はAmazonからポチっとしていただけるとご購入いただけますので、宜しくお願いいたします。

「鼻スッキリでよるぐっすり」
専門医が教える鼻と睡眠の深い関係 鼻スッキリで夜ぐっすり | 高島 雅之 |本 | 通販 | Amazon

本を出すことになりました!
更新日:2021/11/03

昨年秋に「本を書こう!」と決めて、今年に入ってからその作業を進めてきました。そしてやって来月、12月10日出版予定までこぎつけることができました!

タイトルは鼻スッキリで夜ぐっすりです。

このきっかけとしては、いま私が勉強している医療経営大学というコミュニティーの合宿にて本を出版されたDrがいらっしゃいました。その方は開業に関する書籍を出版されましたが、たまたま仲良くしている他のDrも本を出そうと思っている!ということを聞いていたこともあり、それを見て触発されたのが今回の運びとなりました。

しかし、じつはその数年前から、当時お世話になっていた大手のコンサルティング会社の担当者からも「これだけ睡眠に打ち込んでいるのだから、本を出したらどうか!」と声をかけられていました。当時は、本を出すといっても何をどうしたらいいかも全く分からない状態だったので、そのままになってしまいましたが、きっと頭の片隅には「本を出版する」というものが残っていたのでしょう。それもあってか今回はすぐさま行動に移すことができました。

出版社を紹介していただき、打ち合わせを重ね、私が伝えたい事をまとめてzoomで何度かお伝えし、それをライターさんに書いてもらう、という流れでした。本来比較的短期間にzoom取材を終え、夏には出版予定のはずでしたが、私の都合もあり取材間隔が開いてしまった事から秋以降の出版予定となりました。

ライターさんからあがってきた原稿に目を通すと「さすがプロの文章は引き付けるような書き方をするな!」と関心させられつつも、やはり自分の言葉と違うことへの違和感のようなものも同時に感じたのでした。

当初、遠慮がちにチマチマと手直しを入れさせて頂いてましたが、担当者の方から思った通りガンガン手を加えてください!と背中を叩いてもらったことがきっかけで、そこから文章全体の見直しが始まりました。

今回の本の大きなテーマの1つに「鼻呼吸」があります。鼻呼吸が出来るからこそ、良い眠りに繋がるというコンセプトでしたが、後半は既にある睡眠の書籍と類似した内容に向かっていったこともあり、担当者とも再度お話しし、鼻呼吸をもって全面に出そう!ということから、「自分で文章をうってしまっていいですか?」とお願いし、思いつくまま書き足す作業に発展してしまいました。

その後、書籍らしい文末の表現など、そこはプロに手直しをして頂きながら現在発刊に向けて最終段階に入ってきました。

こうして、初めての書籍創りはかなり思い入れの強い、そして私のこれまでの知識と経験から、「鼻呼吸と睡眠」という我々耳鼻科医が担うべき領域について書き留めることができたのではないかと思う1冊になりそうです。

発刊間近、完成がたのしみです!

猛暑とめまい
更新日:2020/08/30

今年はめまいで耳鼻科を受診される方が多い年のように思います。コロナ禍となり皆が自粛を積極的に行っていたゴールデンウィーク明け。めまい、難聴、耳鳴り、耳がかゆい…と、まぁ耳関連の方ばかり!と言わんばかりにとてもヒマになった外来ながら、これらの症状の方は多く受診されました。そしてこの夏、記録的に長い梅雨があけたと思ったら、ここはどこの国か?と思いたくなるほどの暑さ。つい4~5年前までは35℃という気温に「ほとんど体温じゃないか!」と驚いていましたが、もはや40℃とは高熱状態です。気象庁が発表している日本の季節平均気温(日本の夏(6~8月)平均気温偏差の経年変化(1898~2019))によるとグラフのとおり、日本の夏の平均気温は右肩上がりに推移しています(恐ろしい…Σ(゚∀゚ノ)ノキャー)。あちらこちらで皆、熱中症によりバタバタと倒れる方が続出するのもうなずける結果です。

 

 

 

 

https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/temp/sum_jpn.html

 

 

 

(さらに…)

昨日の常識、今日の非常識 ~新しい生活スタイルと新しい診療スタイル~
更新日:2020/05/31

3月下旬、首都圏を中心に外出を控えるよう、感染爆発をするかしないかこの2週間がカギ!との声明から始まり、4/7緊急事態宣言が発出、1ヶ月の自粛要請に我々日本国民は自発的によく我慢したもんだ!と思います。しかし、もう一息とのことでこれは延長され、これらをトータルすると約8週間にも及ぶ自粛生活からやっと5/14日、首都圏などを除き全国の大部分の地域で解消されました(その後25日には全ての地域で解除)。

そして新たに始まったのがcovid-19との共存、「新しい生活スタイル」です。

耳鼻科診療においても、従来普通に行われていたことが色々と変化し、出来ないことが大変増えました。出来なくなったものをざっと挙げてみると

①ネブライザー(診察の後の吸入)
②鼻やのどの内視鏡
③鼻血の焼灼止血
④鼻のレーザー手術
⑤鼓膜切開
と、日常的に行っている診療内容からはこの辺りが列挙されます。 (さらに…)

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